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「おもてなし」が言葉として流行しましたが、茶の湯の精神からの語源と云われます。大切な方への気配りや心配りをする気持ちが築かれた、日本独自の世界に誇れる言葉です。「喫茶去」禅語になりますが、意味は「まぁ~お茶でもどうぞ」私達、日本人に自然と染みついている心ではないでしょうか。
また、日本茶は和食との繋がりも深く日本文化に大きく関わる精神があります。
 
 ・「マナー」とは、相手に不快感を与えないための最低限のルール。
 ・「サービス」とは、主従関係があり対価が発生する。対象が広い。
 ・「ホスピタリティ」とは、思いやりの心。対価を求めない。その時のその場この方に。
 ・「おもてなし」とは、提供する側の姿勢と心。その人がいない時にも心を配り相手に想いをはせ、
  五感と心に感動を与える。主張しない。余計な気遣いをさせないこと。
  最上級の目配り気配り心配り。

「おもてなし」の歴史があるお茶。受け継がれてきた言い伝えや逸話がたくさんあります。

「茶寿」という言葉をご存じでしょうか。「還暦」や「傘寿」「米寿」などといった長寿を祝う年齢の一つです。「茶」の草冠が二つの「十」、下のつくりが「八十八」に分解でき、十・十・八十八を足すと108になることから、108歳をいうようになりました。「茶寿を迎えられる素敵な日々を」との願いを込めた贈り物としても様々な利用シーンにふさわしいですね。

お茶の木は生命力の強い常緑樹で、樹齢百年の木でも芽を摘んでもまた芽が出る事から「お芽でたい」と言われます。また、お茶の根は深く縦横に伸びて移植が難しいことから、「女一度嫁がば茶の木の如くあれ」と女性が嫁入り先でしっかり良い家庭を築いてほしいという願いを込めた言葉があります。実際に、九州の一部では結納に番茶を取り交わす地域もあります。

「お茶は煩悩を取り除き、神や仏の助けにより極楽浄土に帰り忌を祓う」という言い伝えから、弔事等にお茶が使われる場面もあります。形が残るものにしてしまうと、それを見るたびに故人を思い出して寂しくなるという理由から、香典返しに消耗品が好まれるようになったととも言われています。思い出すと寂しくなるけれど、亡くなってすぐは何かと思い出してしまうものです。お茶を飲みながら故人を偲び、心の整理をするために贈ると言われています。また、お茶は持ち帰るのに軽くてかさ張らず、比較的日持ちがするという利点もあります。昔は屋敷や畑の境目に、お茶の木を植えることが多かったそうです。また、お茶を飲むことは境目を越える意味を持っていました。故人の旅立ちを見送ってからお茶を飲むことで、「あの世との間に一線を引き、故人とお別れする」ことを示すのでしょう。

茶室へ向かう飛石や躙り口などは、年齢や身分、立場の違う人も、誰もが皆、同じ歩幅で敷石を踏み歩き、刀を預け、皆が同じ高さに頭を下げて茶室に入り、中では身分の無い主人と客人の関係になります。「もてなしの茶」を目の前で立て、廻し飲みする作法には相互不信の解消や信頼関係の構築があり、そこには静寂の中に向き合う「平和と平等」の空間があったと云われます。アメリカや中東、緊張しているアジア各国、宗教など、世界中の最高責任者同士で茶室会議を催したら、何かしら平和に前進しそうな気がします。

天下人となった秀吉が鷹狩の帰り道、ある寺に立ち寄りました。お茶を所望したところ、寺の小姓は大ぶりの茶碗でぬるいお茶を出したそうです。喉が乾いていた秀吉はそれを一気に飲み干し、お代わりを頼みました。すると小姓が出してきたのは、やや小さめの茶碗でやや熱めのお茶。試しにもう一杯所望したところ、今度は小ぶりの碗に熱く点てた茶を出しました。この小姓の気遣いにとても感心し、秀吉は家来としたそうです。
この逸話の小姓が後の石田光成と言われています。心遣いのおもてなしとして現在でも広く語られています。

日本茶は1000年以上も私達の心と身体を潤し続けてくれています。そして様々なシーンにおいて心に寄り添う時間にお茶があります。「お茶を贈る」実は深い意味や想いの詰まった素敵な飲料です。

「My Time My Select My Tea」茶葉量や湯量、湯温、体調、気温、などでその時のお茶の味は1度きり。自分流で、毎回変化する味の演出、揺らぎがおもしろい。一定品質のペットボトルに慣れた現代人からすると手間がかかるように思えますがその時間が忙しい私たちのシーンを切り替え、心や体をホッと一息させてくれます。そういえば「茶」という漢字は、「草冠の下で人がホッとしている」と読めます。そんなお茶時間をあの方へ。

日本茶専門店 新緑園
羽澤 純吾
BOTTLINGTEA まれもの

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